解決事例

解決事例4~空き家の処分 空き家の処分について、遺産分割調停を行ったケース。相続人の1人が重度知的障害のため、成年後見の申立てをし、調停を成立させた。

空き家の処分 空き家の処分について、遺産分割調停を行ったケース。相続人の1人が重度知的障害のため、成年後見の申立てをし、調停を成立させた。

ご相談前

ご相談者様は、遠い親戚のAさんが所有していた空き家の処分について、ご相談に来られました。

Aさんには子どもがおらず、Aさんの所有していた県外にある土地建物が、

10年以上、空き家のまま放置されているとのことでした。

ご相談者様は、Aさんとは会ったこともない、遠い親戚でしたが、

戸籍をたどると、相続人の1人にあたるため、

当該土地建物のあるのほうから、空き家は危険なので適切に処理されたい、という通知が来ていました。

また、定期的に固定資産税の請求も来ていました。

ご相談者様は、大変困ったご様子でした。

解決結果

ご依頼を受けた弁護士として、まず、戸籍を収集し、相続人の範囲を確定させました。

次に、相続人全員に手紙を出し、空き家の処理に困っているので、調停を申し立てること、

土地建物は任意売却して、売却代金を法定相続分にしたがって、相続人全員に分配したいこと、

相続人のどなたにとっても悪い話しではないので、ご協力いただきたいこと、などを伝えました。

さらに、相続人の1人に重度知的障害の方がおり、

意思能力の点からご自身では遺産分割が行えないため、

その方について、成年後見の申立てをし、成年後見人に代理人になってもらいました。

調停を申立てた後は、幸いにして相続人のどなたからも反対意見は出ませんでした。

そこで、土地建物を任意売却して、売却代金を法定相続分にしたがって相続人全員に分配する、

という調停条項にて調停を成立させました。

調停を成立させた後、申立人の代理人弁護士である私がイニシアティブをとり、

不動産仲介業者に媒介を依頼して、

土地建物を任意売却し、売却代金を法定相続分にしたがって、相続人全員に分配しました。

弁護士のコメント

平成26年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が公布され、

全国の自治体において、空き家の適切な管理と活用を進め、問題解消を図ることになりました。

自治体から、空き家に関する通知が届き、これをきっかけに相続問題が生じることがあります。

多くは遺産分割調停を申し立てて解決します。

土地建物は任意売却して、法定相続分にしたがって相続人全員に分配するという条項での調停成立を目指します。

調停では、各相続人から回答書をもらって、大多数の相続人は欠席のまま、

調停に代わる審判(家事手続法284条)という、

欠席でも終結できる方法を用いての解決が多いです。

ただし、相続人のなかに、高齢の方や、障害をお持ちの方がいる場合、

その方が遺産分割を行えるよう、成年後見の申立てをする必要があります。

応用バージョンとして、相続人のなかに、行方不明の方がいる場合、

その方も含めて遺産分割を行えるよう、不在者財産管理人の申立てをする必要があります。