解決事例6~登記引取請求訴訟 相続した土地の共有持分を放棄した後、登記引取請求訴訟を提起して、法務局で登記を引き取ってもらったケース
登記引取請求訴訟 相続した土地の共有持分を放棄した後、登記引取請求訴訟を提起して、法務局で登記を引き取ってもらったケース
ご相談前
数年前に父が亡くなり、きょうだい3人が田舎の自宅不動産を相続したというケースで、
きょうだいのうちの1人である長男さんが相談に来られました。
自宅不動産は、田舎にあり、売ることが難しい状況でした。
また、きょうだい3人は全員結婚してすでに別の住居を持っており、
父の自宅不動産は誰も利用する人がいない状況でした。
役所から代表者である長男のところへ、
父の自宅不動産の固定資産税の納税通知書が送られてくるので、
長男は、毎年、他のきょうだい2人に対し、固定資産税の分担を求めていましたが、
他のきょうだい2人は何やかんや理由をつけて、固定資産税の分担を免れていました。
そこで、長男は、仕方なく、ご自分がお1人で固定資産税を支払っていました。
この状況が何年か続いたため、困った長男さんが、弁護士のところへ、
何とかならないかということでご相談に来られました。
解決結果
固定資産税の分担に不公平が生じていて、
弁護士としては、共有持分の放棄をすべき典型的なケースと考えました。
そこで、まず、他のきょうだい2人に対し、
配達証明付きの内容証明郵便にて、共有持分を放棄する旨の意思表示をしました(民法255条)。
その後、時間をおかず、登記引取請求訴訟を提起しました。
さらにその後、勝訴判決を得て、その判決書にて、土地の所有権を他のきょうだい2人の共有にする登記をしました。
これにより、依頼者様である長男さんは、共有関係から抜け出すことができました。
弁護士のコメント
せっかく相続した土地について誰も利用する者がおらず、
売ることも難しい場合、固定資産税の負担だけが生じ、
相続人間でその押し付け合いになることがあります。
話し合いで解決できればいいのですが、
話し合いすら拒絶される場合、
相続人代表者の1人だけがその負担を押し付けられ続ける、ということになりがちです。
このような場合に取り得る方法が、
共有持分の放棄 + 登記引取請求訴訟
という方法です。
このような方法は、法律家でなければなかなか思いつけないと思います。
ご相談者様は、ご自身のきょうだい間の争いを、ご自身の子どもの代までは引き継がせたくない、
という想いでご相談に来られました。
結果、ご相談者様は、共有関係から抜け出すことができ、
目的を達成することができました。