解決事例3~寄与分 「認知症の母の介護をした」とする長女夫婦と寄与分を巡って争いになったが、その主張を退けたケース
寄与分「認知症の父の介護をした」とする長男夫婦と寄与分を巡って争いになったが、その主張を退けたケース
ご相談前
お母様を亡くされたという、2人姉妹の二女様からのご相談。
お母様は、長女夫婦と同居し、長女夫婦が介護を担当していました。
その後、徐々にお母様の認知症が進行し、3年ほどたってお母様が亡くなられたとのことでした。
長女と遺産分割協議を行う中、長女は、
「母の介護をしたことを考慮してほしい」と主張しました。
しかし、ご相談者様としては、
「長女夫婦が母の介護をしたことは確かだけれど、それを踏まえて遺産分割をするのが法律上、適切なのか」
とお悩みでした。
解決結果
ご相談者様は、「介護をしたといっても母はそこまで体は悪くなっていなかった。
また、長女夫婦は母と同居していたので、そもそも介護をするのは子どもとして当たり前ではないか」
とおっしゃっていました。
その疑問はもっともで、寄与分が認められるためには、子としての扶養義務のレベルを超えた
「特別の寄与」が必要でした。
そのため、調停で以下のことを主張しました。
① 療養介護型の寄与分が認められるためには、要介護度2以上が必要とされているところ、
亡くなったお父様は要介護度1であったこと。
② 長女夫婦は、母と同居していた際、居住の面では利益を受けており、無償で介護したわけではないこと。
この主張により、結論として寄与分は認められず、法定相続分どおりの遺産分割を行うことで調停が成立しました。
弁護士からのコメント
「介護をしたから寄与分を認めてほしい」という主張はよく見られます。
しかし、介護をしたからといって必ず寄与分が認められるわけではありません。
その介護が扶養義務のレベルを超えた「特別の寄与」であることが必要です。
しかし、そのことを一般の方が適切に主張するのは容易ではありません。
弁護士に相談していただいたおかげで、ご依頼者様は正当な利益を確保することができました。
ご依頼者様には大変感謝していただきました。