コラム
読書メモ 「遺言無効確認請求事件を巡る諸問題)」 東京地方裁判所民事部プラクティス委員会第二小委員会 判例タイムズNo.1380 2012.1
遺言無効確認請求について書かれた論文です。
2023年現在でも、参照されることの多い論文ですが、
時期がやや古いこともあり、特に、目新しい記載はありませんでした。
参考になった記載は、以下のとおりです。
医療記録などの文書送付嘱託の実行性を高めるためには、
13頁
文書の所持者である病院が、任意に協力しようという気持ちを持ってもらうことが必要
画像などを多数提出したとしても、裁判官は読影技術を有するものではないから、
13頁
そのままでは証拠として特段意味をなさないことになる。
よって、証拠として必要な部分の範囲が十分に吟味されるべきである。
医師は、一般に多忙で拘束性の強い業務に従事しているため、
14頁-15頁
証人尋問ではなく、書面尋問(民訴法205条)や調査嘱託(民訴法186条)を実施することが多い。
しかし、反対尋問の必要があったり、尋問事項が複雑な場合には、通常の証人尋問が考慮されるべきである。
出頭が困難であれば、所在尋問(民訴法185条、195条)が考慮されるべきである。
もともと当事者間に感情的対立のある遺言無効確認請求訴訟では、
20頁
人証調べ実施後は、相手方の供述態度を目の当たりにし、あるいは、
相手方の供述内容を耳にして、もともとの感情的対立が再燃・激化し、
和解の機運など雲散霧消してしまうことがありえる。
よって、和解勧試は、人証調べ実施前にするのが相当であろう。